秋元珈琲焙煎所隣に出来た、ギャラリーショップ田谷。
はじめにこの場を見たときにふと浮かんだイメージが窓際に静かに佇むシェーカーベンチ。
什器とかいろいろ相談してくれたんだけど、そんな要望とかはどうでもよくて(言い方悪いけどね)
ここの場にはとにかくこれを作らなければダメだと強く思った。
そんな風に思っても肝心の材料がなければ作れない。
年々貴重になっている楢材の、しかも全世界的に在庫がないって材料屋にいつも言われる幅広の柾目材。
探してもらっても見つかりっこない材料が、木を買いに行ったらたまたまあった。
壁に立てかけてあった楢材は、なんかすごいオーラを放っていた。
打ち合わせに秋元さんが工房に来て、その材料を見てもらった。
「なんか鳥肌とまんないんですけど。木を見て鳥肌立ったのはじめてっす。」
秋元健太は言った。
そして、「この木で作って下さい。」
何も言わずとも、木を見れば伝わることもあるのだ。
失敗したら最後、もう一回はないので緊張感を楽しみつつ加工を終え完成。
その完成したベンチを見た妻が、
「このベンチ、木なんだけどなんか川みたいだよね。木目の感じとかさ、水が流れてる感じがする。」
あとから聞いた、田谷の名前の由来。
それは秋元珈琲焙煎所のちかくに流れる綺麗な川、“田谷川”から頂いたと。
田谷にあるシェーカーベンチの物語。
奇跡のような偶然で出来た、一つのベンチ。